半導体・電池・フレシキブル材料研究を支える卓上型エキシマUVO3洗浄改質装置と表面評価接触角計 2025/10技術寄稿文
Warning: Undefined variable $post_id in /home/excimer/excimer.co.jp/public_html/wp-content/themes/excimer/template-parts/post/content2.php on line 15
1.はじめに
先端材料開発やデバイス製造の研究現場では、試料表面の微細な汚染除去や表面改質およびその評価が製品性能を左右する重要な課題である。例えば、半導体ウエハー上の有機汚染は回路歩留まりに影響を与え、電池材料では電極界面の汚れが寿命や効率低下を招く。フレキシブル電子材料でも、フィルム表面の濡れ性が微細配線ゃコーティングの均一性に直結する。産業用の洗浄・表面改質プロセスには、真空プラズマ装置や高出力エキシマ照射装置のように大型付帯設備ゃプロセスガス供給・冷却水供給等のユーテイリティを要す。産業用の高出力や高温のプロセスは、試料に物理的ダメージや均一性の問題を与える可能性もあり、研究開発環境で手軽に使える手法が求められてきた。また、処理後の表面状態を定量的に評価するための測定装置も不可欠である。こうした課題に対し、当社のエキシマ∪∨ランプ技術を核とした卓上型「エキシマ∪∨03洗浄改質装置」と、高性能でコストパフォーマンスに優れた「表面評価用接触角計」が、研究開発現場での表面処理と評価の二一ズに強力に応えている。
2.課題:表面洗浄・改質と評価のニーズ
半導体分野ではナノスケールの微細加工において、フォトマスク基板やシリコンウエハー表面の異物や微量な有機汚染の除去、親水化表面処理等が必要とされ。また、電池材料開発では、電極やセパレータ表面の清浄度や濡れ性が電解液の浸透性や電池性能に影響するため、適切な前処理が欠かせない。近年拡大するフレキシブルエレクトロニクスの分野でも、樹脂フィルム基板は高温処理に向かないため、低温でダメージレスに表面を活性化する手法が求められている。従来は液体薬品による洗浄や真空下プラズマ処理等が用いられていたが、薬品処理は付帯設備や廃液処理の問題があり、プラズマ処理は装置が大型・複雑でコヌト高な、高温で表面を物理的に削るためデリケートな弄材には不向きであった。さらに、処理効果を客観的に確証する表面評価についても、従来は表面分析装置が高価で拝作も煩雑であった。このように課題が存在しており、手軽でシンプルな表面前処理技術と簡便な表面評価法が求められている。
3.技術解決:エキシマUVランプによる低温
精密光処理と接触角計による表面評価こうした課題に応える技術として注目されるのが、エキシマ∪∨ランプ技術を用いた光表面(∪∨/03(オゾン))処理である。紫外線の波長は短いほど強い光のエネルギー(P hoton)を 持っている。一方、強いエネルギーを与えられると、物質を作っている分子の結合は切断される。つまり、紫外線の光エネルギーが分子の結合エネルギーよりも強いと分子結合は切られるのである。切られた分子は不安定な状態なので何かにつながろうとする。この状態が、反応性の良い、いわゆる「濡れ性の良い」状態である。,由など炭素を持つ有機化合物へ光エネルギーの強い紫外線をあてると炭素の結合が切れる。プロセス環境の雰囲気にオゾンや活性酸素などがあるとCと Oが結びついてC02と してガス化して有機物は分解される。これが∪∨/03光洗浄・改質の原理である。水や薬品を使わない光だけのドライ処理で、しかも温度が上がらないのが特徴である。
エキシマ∪∨ランプから放射される単一波長の波長172nm,7.22o∨ ,1 66kcal/molの 真空紫外光(∨∪∨)は、空気中で03を発生させ、発生直後の活性酸素ラジカルや深紫外光による光化学反応で有機汚染物質やCの二重重結合を分解し、表面をクリーンかつ高エネルギーな状態に洗浄改質する(図 1~3)。 特徴的なのは処理温度で、波長の短い紫外光励起による反応は表面から氷が解けるように進行する。対象物が加熱されにくくフイルム素材など熱に弱い試料にもダメージの影響を与えない。また、プラズマ処理のようなイオン衝撃を伴わないため表面を物理的に削らずダメージを与えない精密処理が可能である。これにより、半導体デバイスのようなウエハー材料から、フィルムのような軟らかい材料まで幅広い試料に対し、素材を問わず表面の有機コンタミ除去・親水化処理が行える。さらに、当社の長寿命エキシマ∪∨ランプを搭載したエキシマ∪∨03洗浄改質装置は、プロセスガスの外部供給を必要とせず大気中で処理でき、冷却も空冷であるため、装置構成が簡素でコンパクトになり、イニシャル∃ストやランニング]ストの低減にも繋がる。一方、処理後の表面状態を定量的に把握する手法として有用なのがJIS規格に準拠する接触角測定である。試料表面に水滴を定量滴下し、その接触角から濡れ性や清浄度および均―性を評価するこの手法は、簡便ながら信頼性が高く、クリーンルーム内の清浄度やケミカルコンタミの評価、保存品の品質評価等様々な分野で広く用いられている。当社の接触角計はこの評価を簡易かつ高精度に行えるよう工夫され、表面処理効果の定量評価に威力を発揮する。
4.製品特長:エキシマUV03洗浄改質装置
4。1 プロセスバラメーターの充実
エキシマ∪∨03洗浄改質装置(6インチ対応卓上モデル)は、研究室のベンチ上で扱える幅300×奥行600×高さ500m mのコンパクト設計でラボの限られたスペースに最適で、しかも本格的な∪∨/03表面処理プロセスを実現した。装置である。最大6インチ(152mm)径までのウエハーや基板に対応し、ステージが自動搬送してエキシマ∪∨ランプ光を走査照射することで大面積を均一に処理できる。処理バラメータとしてステージ速度、照射回数、ランプと試料の距離を細かく設定でき、オプションで窒素やCDAパージおよび加熱ステージにも対応するため、試料のサイズや目的に合わせた柔軟なプロセス開発が可能。紫外光源には自社製造のキセノンエキシマ∪∨ランプ(波長:172n m)を採用しており、常温大気圧下の照射で有機汚染の分解除1去や親水化といった精密表面改質が可能だ。ランプは独自設計の空冷式で、瞬時点灯・消灯が可能な上、水冷や真空ポンプを必要としないシンプルな構造を実現している。
4.2 長寿命エキシマUVランプ
産業用のエキシマ∪Vランプは一般的に高出力化を特長としているが、ランプ寿命の短時間化による頻繁な交換でコスト増とダウンタイムが発生する。同時に高出カランプの発熱は水冷機構を必要とし、装置の大型化やメンテナンス負担、付帯設備などコストの増加が伴う。エキシマ∪∨ランプの寿命は一般的に1000~2000時間とされているが、当社ではあえて過度な高出力化を避け、自社開発の希ガス封入技術により、ランプ管の交換不要(ただし電極やケーブルは消耗交換品)という長寿命化と高信頼性・低コストを両立した。定期的なメンテナンスは外部電極や高圧部品の交換のみで済み、ランプ管そのものは交換不要である。消耗品やランニングコストの低減を実現できたのは、自社製ランプを用いた卓上型装置ならではのメリットによるものである。さらに安全面において、装置から発生するオゾンを無害化するオゾン除害ユニットを標準搭載している。非金属系触媒を用いた高性能フィルターによってオゾンガスを排気濃度0.lppm以下まで分解して排出でき、日本産業衛生学会が定める作業環境基準の安全濃度(0.lppm)を満たしている。このユニットは卓上型のエキシマ∪∨03洗浄改質装置向けに小型ながら高効率となるよう開発されており、装置内のオゾンを循環させずワンパスで分解処理できるためプロセス時間の短縮にも寄与している。触媒は長寿命設計で、通常は1年ごとの交換が推奨されている。
装置本体はAC100∨ 電源さえあれば駆動可能で、ドラフトや特殊な冷却水配管も不要である。扉開閉時に紫外線を遮断するインターロック機構も備え、安全0省スペースで簡便に運用できる。∪∨光源に水俣国際条約に基づく世界的な製造流通を制限された水銀ランプを使用しない設計のため環境負荷が低い点も特筆に値する。
以上のように、エキシマU∨03洗浄改質装置は研究現場で手軽に使える卓上サイズでありながら、独自の∪∨技術で高性能な表面クリーン&改質処理を実現するソリューシ∃ンである(図 4)。
5.製品紹介:表面評価用接触角計の特長と代表的なモデル3機種
当社の接触角計は、保管中の製品の表面状態や前述の∪∨処理効果の見える化に最適な測定機器である。当社は2007年の創業以来一貫して接触角計のソフトおよびハードの開発・製造・販売・校正・修理・サポートを一貫して国内で手掛けており、その実績は官公庁、教育機関、民晋工場、研究所等の採用数に表れている。14年度には横浜市の中小企業新技術・新製品開発促進助成(SBIR)を受け世’界 で初めてタブレット端末を採用した接触角計を製品化するなど独創的な取り組みも行い、特許も取得した。製品コンセプトは「規格に準拠した標準性」「世界最高水準の解析画像解像度」「必要機能に絞った低価格化」の3点でありソフトウェアも含め内製することで高精度・高機能とコストダウンを両立している。例えば、エントリーモデルでは500万画素カメラによる解析により水滴の輪郭を正確|こ提えながら、機能を静的接触角測定に絞ることで、価格を化社の1/5に抑えることに成功した。他社製品がマルチタスク機能と高度な自動化機能と引き換えに高額になりがちな中、当社は実用上十分な性能を持つ入門機を手頃な価格て提供したことで、大学や企業の研究室への普及が進み、匡産エントリーモデル市場でトップシェアを築いた。もちろん上位機種では自動解析や高速度撮影、モバイル型といった幅広い三―ズにも応えるラインアップを揃えており将来の拡張性も万全である。接触角計は表面の濡れ性や清浄度を数値で評価できるため、用途は幅広く、ガラス基板・電子部品0半導体ウエハーの洗浄評価から、インクや塗料の濡れ性評価、防水∃―ティングの撥水性評価、封止材や接着剤の密着性評価、クリーンルーム環境の清浄度モニタリング、宇宙関連、惑星探査機「はやぶさ」や国産ロケットメーカーの超精密部品清浄度検査など多岐にわたる。とりわけ表面改質効果の評価|こは不可欠で、本装置で∪∨処理した試料表面がどれほどの
均―性で親水化したかを接触角の変化で定量的に把握できる。当社の接触角計は高解像度カメラと高度な画像解析アルゴリズムにより、微小な液滴でも左右の接触角をリアルタイムに自動算出可能で、熟練に頼らず安定した測定が行える。エントリーモデルであってもJIS規格に準拠した信頼性を確保しており、シンプルな操作で初学者から専門研究者まで扱いやすい設計となっている。国内メーカーならではの手厚いサポート体制も整つており、測定代行サービスやレンタル機の提供、ユーザーの予算や要求に応じた1台からのカスタム品製作にも柔軟に対応している。これらの取り組みが評価され、現在では当社の接触角計は国内外の大学・企業・官公庁で幅広く使われる存在となっている。
5.1 接触角計人門機キットモデルEntry minl Amazon
専用モデル(図 5)
シンプルな機能で低価格を追求しソフトやカメラなど必要な要素だけの組み合わせが可能。WindowsPC別売。完成品は39万 9300円 (税込)。 同時にAmazon専用モデルとして「JISR3257準 拠θ/2法 接触角解析ソフト」キット1、 「ステージ十バックライト+筐体」キット2、「専用USBカ メラ」キット3のコンポーネンツ単体の販売を開始した。これらのキットモデルはAmazon.co.ipが販売、発送する。
5-2
自動接触角計Slmage AU丁0100ベストセラー
モデル(図 6)
Windowsll対応、JIS R 3257基板ガラス表面の濡れ性試験方法に準拠。解析公式θ/2法、接線法採用。日本製、58万円~(税別)。
500万画素メガピクセルカメラ+メガピクセルレンズ採用。拡張収縮、傾斜法、前進後退接触角、滑落角(オプシ∃ン)拡張測定に対応
5.3 全自動接触角計FAシリーズ最上位モデル(図 7)
誰でも「置いて、ワンクリック」で測定が完了。測定者によるばらつきや測定誤差のない全自動接触角測定で、5カ所を50秒で高速測定も可能。
5-4 接触角計の携帯型モデル
これら以外にも当社の接触角計には携帯型モデルもある。数十メガピクセルの高解像度カメラとバッテリーを内蔵した小型筐体で、試料上に直接置くだけでその場で測定でき、野外での大型材料や製造ラインでのサンプルにも応用されている。建築用フィルムの現場試験や、大型パネルのコー
ティング品質チェックなど、場所を選ばない表面評価用測定器として貢献している。
6.用途事例:研究現場での活用
エキシマ∪∨03洗浄改質装置と接触角計の組み合わせは、材料研究における表面前処理と評価のワンセットとして大いに活躍している。以下に、いくつか代表的な応用例を紹介する。
6.1 半導体デバイス研究
シリコンウエハー上にレジストを塗布する前処理としてエキシマ∪∨03洗浄改質装置でウエハー表面を洗浄・親水化することで、レジストの密着性と塗布膜の均―性が向上する。処理前後で接触角計によリウエハー表面の水滴接触角を測定すると、例えば処理前は疎水性だつたものが処理後は親水性になり、濡れ性が飛躍的に向上したことが確認できる。これにより微細パターンの欠陥低減やスピンコートの膜厚均一化が期待できる。また、チップ封止や基板実装の工程でも、∪∨処理で接合面を活性化しておけばエポキシ等の封止材の濡れ広がりが良くなり密着性が高まるため、信頼性向上につながる。接触角計による評価データはプロ
セス最適化の指針となり、工程開発を効率化する。
6-2 電池材料開発
リチウムイオン電池や全固体電池の研究では、集電体(金属箔)や電極層の表面状態がセル性能に影響を与える。工キシマ∪∨03洗浄改質装置で集電体箔表面の有機不純物を除去し表面エネルギーを高めることで、スラリー電極塗布、の密着性が向上したり、固体電解質との界面抵抗が低減するといった効果が得られる。実験では、∪∨処理した銅箔上へのスラリー塗布試験で、未処理時に比べ均―な乾燥膜が得られ、密着不良による剥離が減少した。接触角計による水滴試験では、処理後の箔表面は水滴が瞬時に広がり接触角ほぼ0度を示すなど、濡れ性が大幅に改善していることが分かる。さらに電極活物質のコーティング開発でも、前処理で表面改質を行うことでコーティング剤の浸透性が増し性能向上につながることが確認されている。これらの評価も接触角計で定量的に行えるため、電池材料の表面処理技術の検討において有用なデータを提供できる。
6.3 フレキシブル・フィルム材料
有機ELディスプレイやフレキシブルセンサーなどに使われる高分子フィルム基板は、プラズマ処理など高エネルギー手法では熱や放電によるダメージを受けてしまう。そこでエキシマ∪∨03洗浄改質装置を用いてフィルム表面を室温で処理することで、フィルムを傷めずに表面改質が可能。
ポリイミドフィルムにエキシマU∨処理を施すと、表面の清浄度と活性度が増し、銀ナノインクをインクジェット印刷した際の付着性とパターン解像度が向上した。処理前はインクが弾いて途切れていたものが、処理後は連続した細線パターンを形成できている。この効果は接触角計でフィルム上のインク滴の広がり具合を測定することで定量化でき、処理有無で明らかに接触角が減少(イ ンクの広がり増大)していることが示された。さらに、大面積フィルムの均一性評価にも接触角計が役立つ。このように、本装置と接触角計の組み合わせはフレキシブル電子材料の研究開発を下支えするツールとなっている。
7.将来展望
エキシマ
∪∨03洗浄改質装置と接触角計は、今後ますます高度化・多様化するR&D分野で重要性を増していくと期待される。’半導体分野ではさらなる面汚染制御や低ダメージプロセスの需要が高まる。その中で薬液を使わないドライで精密な洗浄改質技術である工キシマ∪∨03洗浄改質装置は、環境負荷低減の観点からも注目され、研究試作のみならず量産プロセスヘの応用も検討が進むだろう。実際、当社では真空下でエキシマ∪∨処理を行うシステムや、大面積基板対応の光源開発など、産業展開を見据えた製品化も進めている。電池分野でも全固体電池や新型二次電池の開発において、界面制御技術としてエキシマ∪∨03洗浄改質装置が活用される可能性がある。フレキシブルエレクトロニクスの領域では、フィルムだけでなく布や紙などへの応用も期待され、低温プロセスで材料を選ばないエキシマ∪∨の利点が生きるだろう。
接触角計についても、lo丁 やAIと連携したスマートラボ化の中で、そのデータが品質予測やプロセス自動制御に役立てられる未来が考えられる。例えば接触角測定結果をクラウドで蓄積解析し、最適な表面処理条件をAIがフィードバックするようなシステムが構築されれば、研究開発のスピードは飛躍的に向上すると思われる。実験室レベルでは、当社の携帯型接触角計が示すように、小型・簡便化が進み研究者自らがどこでも即座に表面評価できる時代である。
当社は「紫外光」を活用した独自技術で、光表面処理と測定という2つのアプローチから一貫したソリューシ∃ンを、研究開発を支える製品群として提供している。卓上型エキシマ∪∨03洗浄改質装置と接触角計は、その代表格として多くの導入実績と信頼を築いてきた。今後も現場の声に耳を傾けながら技術改良とサービス拡充を図り、半導体・電池・フレキシブル材料をはじめとする幅広い分野へ、イノベーシ∃ンを通じてR&Dの効率化とコスト削減に貢献する。詳細については当社ウェブサイト(https三 //e×cimer.co.ip)ま たは丁EL.045-507-3313へ 問い合わせいただきたい。

