フィルム・シートの表面評価 エキシマの接触角計とサービス 技術専門誌寄稿文2025

□接触角計とは

接触角計 とは試料表面へ液滴を滴下し、接触角(固体、液体、気体の接する点から液体の表面に接線を引いたときに接線と固体表面のなす角度)を測定することにより定量的に試料表面の状態を評価する計測器です。分子レベルの表面清浄度や濡れ性、均一性など試料表面の状態を定量的に評価します。製造工程における品質管理や表面処理の効果の判定、クリーンルームにおける清浄度管理、塗料塗布評価など幅広い分野で活用されています。

フィルムやシートの評価における主な用途

・表面の濡れ性、疎水性、清浄度、均一性の評価

・洗浄、コーティング、表面改質処理の均一性や効果の評価

・材料や製品の品質管理等

□フィルムやシートの表面評価に最適なエキシマのポータブル接触角計

エキシマのポータブル接触角計は、5000万画素の高解像度カメラを搭載したスマートフォンに接触角解析アプリを搭載し、専用の筐体に収めた装置です。屋外でも滴下した液滴が周囲の光の影響を受けにくく、サンプル上に置くだけで簡単に測定できます。軽量コンパクトでバッテリー駆動のため、場所を選ばずに使用できます。

サンプル上に置くだけで計測できるため大型部品や大判フィルムなど試料の大きさに制限が無く、試料小片化が不要。

パソコン接続が不要なのでモバイル計測に最強です。PAT 6217941特許取得済

自動ピペットディスペンサーの採用により水滴吐出量の作業者によるばらつきが無くなりました。

水滴左右の接触角を別々に連続で自動計測しそれぞれの画像を保存します。

携帯自動接触角計 Contact angle meter Mobile A513
携帯自動接触角計 Contact angle meter Mobile A513

携帯 自動 接触角計 自動ピペットディスペンサー仕様 

Model:  A513

特長

•             自動ピペットディスペンサー搭載(5-20μL)

•             高解像度5000万画素カメラ搭載

•             自動接触角計測により、作業者による誤差を低減

•             ASTM D5946準拠

•             ISO書類対応(オプション)校正証明書、試験成績書、トレサビリィティ体系図

•             新機能:フォーカス調整、露出調整機能

•             接触角測定モード:接線法(自動)、θ/2法(手動)

•             トレンドグラフ表示機能

•             USB-Type CまたはWi-Fiによるデータ転送

•             高速解析csvと画像保存png:接触角約15回/秒 左接触角L、右接触角R、LR平均値

•             専用LEDバックライト装備

•             バッテリー駆動、ACアダプター対応

•             日本製

□搭載されている接触角解析公式

「接線法」:  Tangent Method

 実際の液滴の形状に近い 接触角 解析の測定公式です。滴下した液滴左右端部を含む等間隔3点を球の一部と仮定し液滴左右端部における 接触角(左右および平均)を表すものです。液滴左右端部の 接触角 は独立して計測されるため 傾斜法 による 前進後退 接触角、拡張収縮 接触角 の計測が可能です。株式会社エキシマの 接触角計 は液滴上の輪郭および端点を検出し高度なアルゴリズムで左右の接触角をリアルタイムで解析します。自動モードに搭載。

「θ/2法」: A half-angle Method

最も基本的な 接触角 の測定公式です。サンプル上に滴下した水滴の形状を真円と仮定し新円の半径と高さからθ=2arctan h/r の公式で 接触角 が求まります。また液滴の左右端点と頂点を結ぶ直線の、固体表面に対する角度を求め、これを2倍することでも算出できます。簡単に求められるのですが水滴左右の 接触角 が同じになるので 傾斜法 による 前進後退 接触角 などは計ることができません。手動モードに搭載。

接触角 接線法
接触角 θ/2法

□エキシマの接触角計開発経緯

株式会社エキシマは2007年、平成19年創業、今年で19年目を迎えます。平成26年度横浜市中小企業新技術・新製品開発促進助成金SBIRにて「世界で初めてタブレット端末を採用した 接触角計 」として独創的な先進性が認められ新技術開発の助成にて開発製品化されました。

エキシマは、自社で開発製造するエキシマUV洗浄改質装置の評価のために、接触角計の開発製造に着手しました。ユーザーの視点に立ち、シンプルで使いやすい製品を目指し、独自の技術で製品化しました。

社名のエキシマは自社で開発製造するエキシマUVランプ及び表面改質洗浄装置に基づきます。理化学機器から半導体まで業界30年の実績と経験を有します。

横浜市ものづくり助成金SBIRエキシマ

□多くのユーザーから接触角計に関するよくある質問

Q接触角の測定結果がばらつくのはなぜですか?

Aばらつきの主な要因は以下の4点です。

  1. 接触角解析公式の違い

メーカーや機種によって使用している解析公式が「θ/2法」や「接線法」など異なる場合があります。

  • サンプル素材に起因

お客様の測定対象サンプルの表面はどれだけ均一な状態なのか把握されていますでしょうか?接触角計は塵埃やケミカルをコントロールしたクリーンルーム内の清浄度評価にも用いられるほど分子レベルの汚染の評価にも使用されるものです。一般環境で取り扱われているサンプル表面の接触角が均一であるという認識を再度確認していただく事をお勧めいたします。(※撥水性に表面処理した表面は除く)

  • 接触角計「水平線の設定位置」の違い

接触角 の計り方にはJIS規格等がありますが「水平線の設定位置」についての規格がありません。殆どの計測結果の違いはこの「水平線の設定位置」の違いが原因であることが多いです。 接触角 を測定する際に理想的な測定方法は「カメラ読み取り角0°」となる真横から水滴を測定する方法です。しかし実際には、さまざまな表面条件のサンプル基板(透明、光沢、反射、梨地など)に対して、サンプル上に滴下した水滴の輪郭を真横から自動で検出するのは難しいため水平線の位置は各社独自の基準で測定しているのが主な原因です。

測定結果が異なる場合、実際に測定された水滴画像を比較してみてください。読み取り角度0°の画像は理想的な半円となりますが、ほとんどの接触角計の水滴画像は半円の下半分に反射の画像が映り込む形をしています。中にはラグビーボールのような形の水滴画像で 接触角 を表示しているものもあります。各社 接触角計 メーカーのカタログ上の 接触角 画像を比較しても異なることがわかります。

最近ではいろいろなメーカーから独自の測定方法で計測された結果が「 接触 角」という言葉で表記しているので、世界的な規格に基づく測定方法なのか確認することが重要と思われます。

  • 計測条件が一定でない

計測時の接触角計が受ける周囲からの光の変化、朝夕時刻による窓辺からの光の強弱、照明の有り無し、弊社の製品ではありませんが計測ごとに作業者によるバックライトの光の調整や焦点調整の為の測定距離の変化などは、ばらつきの要因になります。

Q接触角計 の校正証明書発行は可能ですか。

AトレーサブルなISO書類対応 校正証明書、試験成績書、トレサビリィティ体系図の発行が可能です。(有償)

Q接触角計 輸出の際に該非判定書の発行が可能ですか。

A輸出貿易管理令、非該当証明書、該否判定書の発行が可能です。(無償)

Q自動と手動の 接触角計、何が違うのですか?そもそも自動 接触角計 とは何が自動なのですか?自動のメリットとは何ですか?

Aエキシマの自動 接触角計 の定義はサンプル上に滴下された水滴を 接触角 計測する際に水滴輪郭上のエッジ検出をアルゴリズムによる画像処理でコンピュータに行わせることを自動 接触角 計測と定義します。これに対して手動 接触角 計測とは水滴輪郭上のエッジ検出を作業者が目で見て手動で行っているものを手動 接触角 計測と定義します。目盛りのついたレンズ上で角度を読み取る方式も広い意味で手動 接触角 計測といえると思います。自動 接触角 計測のメリットはアルゴリズムによる画像処理でコンピュータが読み取るので複数の測定作業者による読み取りに比べばらつきの原因となる測定誤差が無くなると言う長所があります。ちなみにエキシマの 接触角計 は自動 接触角計 でも水滴の形成、滴下、サンプルのセット、取出しなどは作業者が行います。これら測定プロセスを自動で行うものを全自動 接触角計 と定義し特注製品としてご提案させていただいております。

Qエキシマの接触角計はなんで安いのですか?

A:ソフト及びハードの自社開発製造をメーカーが直接販売しているためです。

製品の設計コンセプトも原理原則に基づき機能を絞り最初から誰でも簡単かつ直感的に操作でき

るシンプルな製品を目指しているからです。

Qエキシマの 接触角 は低価格ですがどのくらい精度が悪いのですか?

Aそもそも、低価格=精度が悪いというわけではありません。測定精度はカメラの性能(解像度)に大きく影響されます。エキシマで最もEntryモデルの接触角計でもカメラ性能は500万画素です。

また、計測ごとに作業者によるバックライトの光の調整や焦点調整の為の測定距離の調整は不要な設計なので測定の再現性に優れます。

□エキシマの接触角計の特長

主な特徴は、

1.「JIS規格やISOなどスタンダードに基づく接触角計」

2.「世界最高性能の高解像度解析画像」

3. 接触角計測機能を基本に絞って実現させた「低価格」

4. 再現性を重視した基本設計、作業者によるバックライトの光の調整や焦点調整の為の測定距離の調整は行いません。

5.ユーザー自身でセットアップ可能なシンプル設計

□エキシマの接触角計全製品ラインアップ

Entryモデルから半導体ウェハー対応モデルまで全12機種、幅広いラインナップを取り揃えています。

Android OS で動作するSmart contact モバイルシリーズ

・スマートフォンやタブレット端末で計測

・シートやフィルムの上で計測。サンプル小片化不要。PC不要モバイル計測可。

携帯接触角計   M412

携帯自動接触角計 A513, (Pro100C)

Windows OS で動作するSImage 卓上型シリーズ

・ノートパソコンやデスクトップパソコンで計測

・JIS R3257に準拠 ※一部モデルは除く

簡易接触角計  mini 11 ※

接触角計       Entry 6

自動接触角計    AUTO100/100C/100D/300/300Wafer

全自動接触角計  FA100/300

□代表的なベストセラーモデルのご紹介

〇自動 接触角計 SImage AUTO 100 / 100D

接触角計SImage

500万画素カメラおよび焦点調整可能なメガピクセルレンズの採用によりばらつきの原因となるカメラと水滴の測定距離は固定で計測を実現しました。

ISO書類対応 校正証明書、試験成績書、トレサビリィティ体系図      (オプション)      

Windows11、10 対応

対象サンプルサイズ100x100mm

静的、動的 接触角計測 L、R、LR平均表示

約15fps経時変化計測、グラフ表示

接触角演算方法接線法(自動)、θ/2法(手動)

データの外部出力や保存(png,csv)

拡張収縮、傾斜法(オプション要)、接触角 測定対応

滑落角 傾斜法計測対応(角度計、精密ステージオプション要)

Z軸シリンジ高さ調整ディスペンサ

専用バックライト

本体は幅120mm省スぺ―スを実現。

日本製

〇自動ディスペンサー内蔵モデル SImageAUTO100D

自動接触角計自動ディスペンサー

自動接触角解析ソフトSImageAUTOにディスペンサー機能を追加しました。吐出量3~15μLを設定可能、Dispenseボタンを押すとステッピングモーター制御により自動的に作業者によるバラツキ無く水を吐出します。場所を取らないコンパクト省スぺ―スな本体は幅120mmを実現。

〇最新最上位モデル 全自動高速接触角計 FA100 / FA300

ワンクリックで高精度測定、省力化と低価格を実現

FA100は、どなたでも簡単にワンクリックで高精度な接触角測定が可能な、最新の全自動高速接触角計です。「置いて、ワンクリック」の簡単操作で、5箇所をわずか50秒で高速測定。測定者によるばらつきを排除し、測定誤差を大幅に削減します。

〇省力化の向上: 水滴作成、滴下、接触角計測、データ保存、ステージ移動といった手作業を自動化。「人、時間、工数」を大幅に削減し、省力化を実現します。

〇測定のばらつきを削減: 測定操作の自動化に加え、周囲の明るさの影響を防ぐ暗室筐体を採用。測定環境に左右されない安定した測定が可能です。

〇省スペース設計: 制御用PCを外部の光の影響を受けにくい暗室筐体上部に配置することで、卓上設置面積400×420mmの省スペースを実現。

〇低価格: 自社開発オリジナルのWindows/Android OSベースの画像計測技術と革新的な機構制御により、従来比1/2の低価格を実現。

Model FA100

主な特長

暗室チャンバー筐体の採用:周囲環境の明るさによる影響を受けにくいので再現際に優れる

静的/動的接触角計測:L、R、LR平均値を表示

経時変化計測:約15fps、グラフ表示

接触角演算:接線法(自動)、θ/2法(手動)

データ出力/保存:png、csv形式

静的/動的接触角、拡張/収縮接触角に対応

500万画素高画質カメラ

焦点調整可能なメガピクセルレンズ:カメラと水滴の測定距離を固定し、ばらつきを抑制

Windows 11対応

ISO書類対応(オプション):校正証明書、試験成績書、トレーサビリティ体系図

FA300:半導体ウェハー対応全自動接触角計

300mm Wafer 接触角計
300mm Wafer 接触角計

FA300は、半導体300mmウェハーに対応した全自動接触角計です。オートディスペンサーと自動ステージを装備し、300mm、12/8/6インチなど各種ウェハーサイズに対応可能なPEEKホルダーステージを搭載。液滴作成、滴下、ステージ移動を自動化し、手動作業によるばらつきを抑え、測定データを自動保存します。

接触角計 各種サービスのご紹介

■ 毎年校正付き全自動接触角計メンテナンスリースサービス

購入された場合、減価償却に基づく固定資産税の課税対象となりますがリースは月々の料金を経費として損金処理が可能です。リース期間中の機器の校正メンテナンス費用はリース料金に含まれます(消耗品は除く)。

毎年の年1回の校正証明書、検査成績書、トレーサビリティ体系図を含むメンテナンスリースサービスを新たに開始しました。一括購入が難しい高価な最新設備を、低額で導入できるサービスです。

また、契約期間満了後、導入した設備はお客様のものになります。

リース代金は収納代行会社にて承ります。

契約期間中にお支払いいただくリース料は、機器価格、期間中の機器の校正メンテナンス費、期間中の支払金利、固定資産税や損害保険料などの概ね全額となります。

対象製品:ワンクリック全自動接触角計 FA100

月々53,158円(税込)契約年数:5年(60回払い)

リース総額 3,680,160円  初回お支払い 474,332円 月々お支払い 53,158円  契約年数5年 60回払 (2024年12月現在)

■ 接触角受託測定サービス

ISO9001校正に基づいた信頼性の高い自動接触角計を用いて、プロフェッショナルエンジニアが接触角計測サービスを提供します。

測定項目:接触角(接線法、θ/2法)、静的接触角、動的接触角、前進/後退接触角、拡張/収縮接触角、滑落角、微小接触角、経時変化、温度湿度制御下など

最新の測定環境:温度・湿度コントロールチャンバーを導入。チャンバー内に設置した湿度センサーとWi-Fiによる外部モニター可能なフィードバック制御により、高精度な湿度制御を実現。接触角計に搭載されたステージヒーターのPID制御により、温度制御も行います。

幅広いニーズに対応:測定環境を制御することで、再現性の高い接触角測定が期待できます(有償オプション)。

■ 古い接触角計の修理サービス

Windows XPなどPCのサポートサービスが終了した接触角計でも、最新のカメラと接触角解析ソフトに修理交換することで、新規購入することなく継続してご使用になれます。

■接触角計校正サービス

 株式会社エキシマの 接触角計 は有償にてトレーサブルな国家検定に基づくISO書類対応 校正証明書、試験成績書、トレサビリィティ体系図の発行が可能です。一般校正サービス。(一部Entryモデルを除く)

■輸出管理貿易令 非該当証明書、該否判定書の発行が可能です。 (一部製品を除く)

□まとめ

世の中にないオリジナルな製品開発を積極的に進めてまいりますので、「こんなことがしたい」「こういうものが欲しい」などご要望ございましたらお気軽にご相談ください。過去にはカスタム製作事例として「コンタクトレンズ用ハイスピード接触角計」「重量大型部品用接触角計」「高温ステージ接触角計」「温湿度制御環境チャンバー接触角計」「暗室接触角計」「クリーンブース接触角計」「搬送ライン組込型接触角計」「0.5mm幅微小接触角計」など1台からのカスタム製作が可能です。皆様のお役に立つ製品を通じて社会に貢献をいたしてまいりたいと考えています。